ガソリンスタンドは、なぜ30年で半分以下になった?!


車に乗っている方なら、日常的に利用する「ガソリンスタンド」。

最近、

「昔に比べてガソリンスタンドが減ったなぁ」

と感じることはありませんか?

実は全国のガソリンスタンド(SS:サービスステーションの略)は、1994年度には約6万カ所ありました。

それが2024年度末には、

27,009カ所。

30年間で半分以下になっています。

 

■実は1970年代から急激に増えていた!

もう少し長い目で、全国のガソリンスタンド数を見てみると面白いです。

1970年度 約37,382カ所

1980年  約59,209カ所

1990年  約58,614カ所

2000年  約53,704カ所

2010年  約38,777カ所

2020年度 約29,005カ所

そして、

2024年度末 27,009カ所

となっています。

1970年代は自動車の普及とともにガソリンスタンドも一気に増え、1980年には約5万9,000カ所。

その後も高い水準が続き、1994年度に約6万カ所でピークを迎えました。

ところが、そこから減少が始まります。

2000年には約5万4,000カ所、
2010年には約3万9,000カ所、
2020年度には約2万9,000カ所。

つまり、

自動車の普及とともに急成長
↓
約6万カ所まで拡大
↓
1990年代半ばをピークに縮小

という歴史をたどっているんですね。

 

■ENEOSの看板=ENEOSが経営している?

そして意外なのが、ガソリンスタンドを経営している会社です。

例えば「ENEOS」と大きな看板が出ていると、

「このガソリンスタンドはENEOSが直接経営している」

と思ってしまいませんか?

実は必ずしもそうではありません。

資源エネルギー庁の資料によると、SSを運営する石油販売業者の約97%が中小企業。

さらに約7割が、

「1SS(ワンサービスステーション)ディーラー」

と呼ばれる、1社で1カ所のSSだけを運営している事業者です。

例えば、

地元の「○○石油株式会社」が1店舗のガソリンスタンドを経営していて、看板はENEOS。

会社としては○○石油ですが、ENEOS系列からガソリンを仕入れ、ENEOSのブランドを掲げて営業している。

そんなケースがあるわけです。

 


■では「1SSディーラー」はフランチャイズなの?

ここは少しややこしいところです。

「セブン‐イレブンのようなフランチャイズなの?」

と思われるかもしれませんが、厳密には同じ仕組みではありません。

ガソリン業界には、

「系列特約店」
「系列販売店」

という仕組みがあります。

簡単にすると、

【元売会社】
ENEOS・出光興産・コスモ石油など
↓
【系列特約店】
元売会社から直接ガソリンを仕入れる会社
↓
【系列販売店】
特約店からガソリンを仕入れる会社
↓
【ガソリンスタンド】

という流れがあります。

もちろん、特約店自身がガソリンスタンドを運営する場合もあります。

系列店は元売会社のブランドを使用する契約を結び、基本的にはその系列からガソリンを仕入れます。

ですから外から見ると、

「ENEOSのお店」

ですが、

実際の経営会社は地域の○○石油株式会社。

土地や建物を所有したり、従業員を雇ったり、経営判断をしたりするのも地元企業、

というケースが珍しくありません。

一方で、元売会社の販売子会社が運営するSSや、特定の元売ブランドを掲げない独立系のSSなどもあります。

つまり、

「ENEOSの看板=ENEOS本体の店舗」

ではないんですね。

コンビニのフランチャイズと少し似て見える部分はありますが、

「1SSディーラー」という言葉自体は、

「1店舗しか運営していない事業者」

という意味であり、

「フランチャイズ加盟店」

という意味ではありません。

ここは意外と知られていない部分ではないでしょうか。

 


■では、なぜガソリンスタンドは減ったの?

 

大きな理由の一つが、

「ガソリンそのものが昔ほど売れなくなった」

ことです。

国内のガソリン需要は、

2004年度 約6,147万kL
↓
2022年度 約4,477万kL

約27%減少しています。

人口減少だけではありません。

車の燃費性能も大きく向上しました。

つまり、

「車に乗らなくなった」

だけでなく、

「同じ距離を走るために必要なガソリンが少なくなった」

わけです。

さらに、

・後継者不足
・人手不足
・設備の老朽化
・地下タンクなどへの設備投資

といった問題も重なっています。

特に1店舗だけを経営している小さな会社の場合、設備更新や後継者問題への対応は大きな負担になります。

こうした、

需要減少
+
小規模経営
+
設備更新
+
事業承継

といった問題が重なり、SS数の減少につながっているわけです。

 

■では、売上金額で見るとどうなの?

店舗数だけでなく、「金額」で見るとさらに面白くなります。

ただし、1970年から現在まで同じ基準で比較できる「ガソリンスタンド業界全体の売上高」という統計はありません。

そこで、

「国内ガソリン販売量 × 当時のガソリン小売価格」

から、ガソリンだけの小売市場を概算すると、

1970年 約1.2兆円

1980年 約5.4兆円

1990年 約5.9兆円

2000年 約6.1兆円

2010年 約7.7兆円

2020年 約6.2兆円

というイメージになります。

※長期のガソリン販売数量と東京都区部などの小売価格を組み合わせた概算です。「ガソリンスタンド業界全体の公式売上高」ではありません。

ここが面白いところです。

店舗数は約6万カ所から2万7,000カ所まで減り、ガソリンの販売数量も減っています。

それでも「円」で見た市場規模は半分にはなっていません。

なぜなら、

ガソリン価格そのものが上昇すれば、販売数量が減っても売上金額は大きくなるからです。

つまりガソリン業界は、

「販売量が減っている市場」

でありながら、

「価格によって売上金額が大きく動く市場」

でもあるんですね。

ただし、

「売上が大きい=ガソリンスタンドが儲かる」

ということではありません。

原油代、精製費、物流費、税金、人件費、設備費など、さまざまなコストがかかります。

では、

ガソリンスタンドは一体どこで利益を出しているのでしょうか?

そして、

「同じENEOSなのに、なぜ店によってガソリン価格が違うのか?」

ここに現在のガソリンスタンド業界の、もう一つ面白い仕組みがあります。

次回は、

「ガソリン価格は一体誰が決めているのか?」

そして、

「ガソリンスタンドはガソリン以外でどう稼いでいるのか?」

について見ていきたいと思います!

 

 


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今週の長縄のひとりごと。


ガソリンスタンドで給油している時間って、よく考えると「必然的に何もしない時間」になりますよね。

ほんの数分ですが、スマホを触るでもなく、仕事をするでもなく、ただ給油が終わるのを待つ時間。

最近はこういう「何もしない数分」って、意外と少なくなった気がします。

普段は予定や仕事に追われていますが、ガソリンを入れながらボーッとする時間も、ちょっとした息抜きなのかもしれませんね。

今回ガソリンスタンドについて調べながら、そんなことをふと思いました(笑)

 

【参考URL】

・資源エネルギー庁
「地域燃料流通を巡る現状」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/sskasochi/ryutsukenkyukai/01/0105.pdf

・資源エネルギー庁
「令和6年度末 揮発油販売業者数及び給油所数」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/hinnkakuhou/250730.html

・資源エネルギー庁
「地域のエネルギーサプライチェーンの維持に向けて」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/anzenhosho/supplychain.html

・石油連盟
「統計資料・給油所数(SS、セルフSS)の推移」
https://www.paj.gr.jp/statis/statis

・ENEOS 石油便覧
「主要国の給油所数の推移」
https://www.eneos.co.jp/binran/document/data/pdf/18.pdf

・公正取引委員会
「ガソリン流通・系列特約店、系列販売店について」
https://www.jftc.go.jp/info/nenpou/h16/16kakuron00002-7.html

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