街を歩いていると、昔ながらの小さなタバコ屋さんを見かけることがあります。
店先にはタバコの自動販売機があり、小さな窓口の奥には店主らしき人が座っています。
ところが、お客様が次々と出入りしている様子は、あまり見かけません。
そんなお店を見るたびに、私は少し不思議に思います。
「このお店は、いったいどうやって商売を続けているのだろう?」
今回は、喫煙をおすすめするという話ではありません。
まず、日本の喫煙者がどのくらい減っているのかを見てみましょう。
厚生労働省などの調査をもとに、1996年以降の喫煙率を見ると、次のように推移しています。
1996年 全体33.2% 男性55.1% 女性13.3%
2000年 全体26.2% 男性47.4% 女性11.5%
2005年 全体24.2% 男性39.3% 女性11.3%
2010年 全体19.5% 男性32.2% 女性 8.4%
2015年 全体18.2% 男性30.1% 女性 7.9%
2019年 全体16.7% 男性27.1% 女性 7.6%
2024年 全体14.8% 男性24.5% 女性 6.5%
約30年前の1996年には、成人100人のうち約33人がタバコを吸っていました。
それが2024年には、100人のうち約15人まで減少しています。
減少率を計算すると、約30年間でおよそ55%低下したことになります。
特に男性の変化は大きく、1996年の男性喫煙率は55.1%でした。
当時は、成人男性の2人に1人以上がタバコを吸っていた計算です。
それが2024年には24.5%となり、現在では成人男性のおよそ4人に1人まで減少しました。
女性についても、1996年の13.3%から2024年には6.5%となり、約半分まで減っています。
なお、2024年の男性を年代別に見ると、40代は34.5%、50代は31.9%となっています。
全体では減少しているものの、働き盛りの男性では、現在も3人に1人前後が喫煙していることになります。
これだけお客様となる人が減っているのですから、タバコ屋さんにとっては、非常に厳しい市場環境であることが分かります。
それでも、昔ながらのタバコ屋さんは営業を続けています。
喫煙者の減少に伴い、タバコの販売数量も大きく減っています。
紙巻きタバコの販売数量は、1996年度の3,483億本がピークでした。
それに対して、2023年度の紙巻きタバコと加熱式タバコなどを合計した販売数量は、1,494億本相当です。
ピーク時と比べると、販売数量は半分以下の水準になっています。
一方で、近年は加熱式タバコが急速に普及しています。
2024年に習慣的に喫煙している人が使用している製品を見ると、加熱式タバコを使用している人の割合は、
紙巻きタバコだけを吸う人が減り、加熱式タバコへ移る人が増えているのです。
つまり、タバコ市場が一気になくなったというよりも、
という、大きな市場の変化が起きていると考えられます。
全国のタバコ小売店は、2001年度の約30万7,000店をピークに減少しています。
2023年度には約21万9,000店となり、ピーク時から約8万8,000店減りました。
廃業した店舗 8,142店
新しく開業した店舗 2,254店
新しく開業する店舗よりも、廃業する店舗の方が圧倒的に多いのです。
では、そのような厳しい市場の中で、昔ながらの小さなタバコ屋さんは、なぜ営業を続けられるのでしょうか。
昔ながらのタバコ屋さんには、自宅の一部を店舗として使っているお店もあります。
自分の土地や建物で営業していれば、毎月の家賃はかかりません。
家族で経営していれば、大人数の従業員を雇う必要もありません。
・店舗の家賃
・従業員の人件費
・水道光熱費
・広告宣伝費
・借入金の返済
しかし、家賃や人件費がほとんどかからなければ、売上がそれほど大きくなくても、営業を続けられる場合があります。
売上が大きくても、固定費が重ければ利益は残りません。
反対に、売上がそれほど大きくなくても、固定費が小さければ、長く続けられることがあります。
財務省の2024年度調査によると、タバコ小売販売店の営業形態は、次のようになっています。
コンビニエンスストア 37.9%
酒類販売業 11.2%
百貨店・スーパー 10.4%
タバコ専業店 10.2%
タバコを主な商品として販売する「タバコ専業店」は、全体の約1割です。
・酒類
・食品
・飲料
・お菓子
・日用品
・加熱式タバコ関連商品
つまり、タバコだけの利益で商売を成り立たせているとは限りません。
タバコを買いに来たお客様に、飲料や食品なども購入してもらう。
タバコが、お客様に来店してもらうきっかけになっている店舗もあると考えられます。
財務省の2024年度調査によると、タバコの年間売上高が1,201万円以上の店舗は37.8%でした。
一方で、年間売上高がなんと100万円以下の店舗も22.9%もあります。
ここで注意したいのは、これは利益ではなく「売上高」だということです。
商品の仕入れ代などを差し引けば、実際に手元に残る金額はさらに小さくなります。
年間売上高が100万円以下であれば、タバコの販売だけで生活費のすべてを賄っているとは考えにくいでしょう。
・自宅兼店舗で家賃がかからない
・年金など、ほかの収入がある
・別の商品やサービスも扱っている
・昔からの固定客との関係を大切にしている
となっており、60代と70代だけで半数近くを占めています。
「大きく儲かっているから続けている」というよりも、
「大きな固定費がかからないから、今も続けられている」
一見すると、お客様が少なそうに見える街のタバコ屋さん。
・家賃や人件費などの固定費が低い
・ほかの商品や収入と組み合わせている
という、小さくても長く続けられる仕組みがあるのかもしれません。
「どれだけ売れているのか」だけではなく、
「最終的に、どれだけお金が残る仕組みになっているのか」
〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓
今週の長縄のひとりごと。
僕はこれまでたばこを一本も吸ったことがないので、
たばこの世界はまったくの未知なのですが
映画「グッドフェローズ」の中でロバートデニーロ
めちゃくちゃかっこよく葉巻を吸っていたのが常に心に焼き付いています。
外面はもちろん内面がかっこよくないとあのかっこ良さ出ないですね(笑)
参考:
厚生労働省
「分煙効果判定基準策定検討会報告書」
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/06/h0607-3.html
### 2.2024年の喫煙率・加熱式タバコの使用状況
厚生労働省
「令和6年 国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html
調査結果概要PDF
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf
### 3.タバコの販売数量・小売店数の推移
財務省
「たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_tabacco/proceedings/material/tabako20250528e.pdf
### 4.タバコ販売店の売上・業態・経営者年齢
財務省
「たばこ小売販売業調査(令和6年度)」
https://www.mof.go.jp/policy/tab_salt/reference/tab_stat/result2025.html
### 5.タバコ小売販売業の許可制度
財務省
「製造たばこの小売販売業の許可」
https://www.mof.go.jp/policy/tab_salt/tobacco/tobacco_kouri_kyoka.html
### 6.タバコの小売定価認可制度
財務省
「製造たばこの小売定価の認可」
https://www.mof.go.jp/policy/tab_salt/topics/kouriteika.html